太平洋戦争と日系人移住者2006/03/01 19:15

職場のメルマガで連載している記事を転記します。
 シリーズ「多文化共生と日系人」
        ~第4回 第二次世界大戦と日系人~
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 さて、今月もやってきました。連載特集。
 前回は、戦前にパナマから引き上げて来た私の祖父母の話をしました。
 そのまま、パナマに残った親戚もいました。太平洋戦争が始まり、海外に在住する日本人達はどんな運命をたどったのでしょうか。

 1941年(昭和16年)に日本はハワイ真珠湾を攻撃し、米国と戦端を開きます。これをきっかけに中南米の国々でも、日本との国交断絶、対日宣戦布告をする国が出てきます。
 特に、パナマは海運の要衝であり、戦略上も重要な位置を占めており、当時から米軍が駐留をしていました。
 太平洋戦争前も、私の祖父などは米軍に魚を売っていたと言います。

 戦争が始まり、対日宣戦布告がなされるとパナマの日本人は収容所に連行されてしまいます。
 一部は、現地の信頼できる人や中立国の大使館等に資産を預けれた人も
いたようですが、多くの人たちは資産凍結・没収されてしまいます。
 当初は、国内の収容所等に隔離されていましたがそのうち、カリフォルニアの収容所に移送されます。ここには、ペルーなどからも日系人が移送されてきたそうです。

 戦争が終わると、米国に移送されていた日系人達も解放されますが、多くの国では努力して作った資産は没収されてしまいました。
 特に、パナマでは日本人は雑貨商、クリーニング、理髪店等のサービス業を営む人が多く、農業のように固定資産を持っていませんでした。
ゼロからやり直しになってしまったそうです。
 静岡県の沼津からパナマに出かけていた人は、戦争が終わるとブラジルやベネズエラに再移住をし、再び、生活基盤を作るところから始めていきます。ベネズエラに渡った親戚は、再び雑貨商を始めて現在ではチェーン展開をしています。
 また、ブラジルなどでは、ドラマ「ハルとナツ」で紹介されたように、日系人が「勝ち組、負け組み」に分かれて争いが起こったりしています。

 日本は戦争で焼け野原になってしまいましたが、復興には中南米の日系人から多くの支援を頂いたことを忘れてはいけませんね。
 遠く離れていても、早い祖国の復興を願い、食料や衣料品が海外の日系社会から送られてきました。

***書籍紹介***
 天野芳太郎『わが囚われの記-第二次大戦と中南米移民-』中公文庫

東京裁判の見かた2006/03/08 00:10

田中正明『パール判事の日本無罪論』小学館文庫

昨年の、終戦60周年に自分なりに大東亜戦争を振り返ってみようと思って購入した最後の本。
インドのパール判事がどのよな視点で東京裁判に臨み、どのような判断で全ての被告を無罪にしたのかが非常にわかりやすく描かれている。

日本が行ったこと全てが無罪になるわけではないものの、あの裁判がいかに不公正であったかが理解できる。

60年たった今の世界も紛争が耐えない。
国家の指導者全てがこれらを学ぶ必要があると考える。

「行政」を考える。2006/03/14 23:30

村尾信尚『「行政」を変える!』講談社現代新書

元財務官僚でありながら、三重県庁総務部長に出向し三重県知事選にも出馬した著者が見る、日本の将来と行政のあるべき姿。

一納税者の立場から読んでもうなずける点が多々あると共に、税金を使って業務を行っている内側の立場から見ても反省点が多い。

業務上も様々な改革を行っているが、責任体制が不明確で中途半端になっている感がある。
資源、組織、規範の中で、皆が共通の規範(ビジョン)を共有することが重要である。
本書を関係者が読むことで、明確に規範の共有が出来るのでは無いかと感じる。

明治の男達、海の男達2006/03/26 12:25

CW.ニコル『盟約』文春文庫

ニコルの『勇魚』の続編で、銛一の3男、三郎が帝國海軍で活躍する話。
舞台は、イギリス、日本と、目まぐるしく移り変わる。
もちろん、日本海大海戦も戦艦朝日の砲艦士官として活躍する。

日英の海の男達の友情も素晴らしい。
また、父の故郷である太地を訪れ、鯨取りとの交流でも海の男達の心の交流が描かれる。

読んでいて、すがすがしい本だった。

4部作になるとのことだが、早く続編を読みたい。

巨大地震の日2006/03/29 23:27

高嶋哲夫『巨大地震の日-命を守るための本当のこと』集英社新書

最近また自身が頻発している。
東海大地震、東南海、南海大地震もいつ来てもおかしくない。

そんな中、久しぶりに柘植久慶以外の本を読んでみた。
実際に大地震が発生した後、どのようなことが発生するのか。
行政はどのように動くのか、動けないのかが容易に理解できる本であった。

防災体制や防災グッズへの備えとは離れるが、一読しておくと良い本だと思う。