仕事は戦場2009/04/01 23:04

柘植久慶『「戦場」から学ぶ仕事術』講談社+α文庫

久しぶりに本屋さんで柘植の新しい本を見つけたので買ってしまった。
新社会人向けの本だが、社会人10年目にしても学ぶところが多かった。

巻頭の書籍を書く際には5つは読者に新たに学ぶことを入れているとの言は、柘植らしいと思う。

戦場と職場がどこまで共通するかは、議論があると思うが、納得する面も多かった。

今日、新入職員が配属になり豊富を語っていたが、10年前の自分と比較しても、「社会をわかっていないのに生意気言うな」という感想を抱くスピーチだった。
若くて青臭いのではなく、わかった風で聞いていた人たちはみんな違和感を感じたのではないか。

時代が変わったといえばそれまでだが、勘違いは本人、職場の双方にとってデメリットになるだろう。

新入社員の方々に一読、お薦めの本です。

日系人の歴史をもっと知ろう2009/04/06 22:57

高橋幸春『日系人の歴史を知ろう』岩波ジュニア新書

明治元年の日系移民から、ブラジルでの一世、二世の生活、そしてなぜいま、日本の日系人子弟の出稼ぎが多いのか、とてもわかりやすく歴史が記されている。

派遣切りがニュースになっているが、一番真っ先に切られてしまうのが外国人労働者や日系人ではないだろうか。

なぜ、自分たちの祖先が海を渡って日系人となったのか、出稼ぎで出かけた日本人が移住者となってしまったのか。

こんな不景気な時代、外国では保護主義に舵を切った国もある。
ここで、日本が排他的になってはいけない。

多くの人に読んで欲しい一冊です。

江戸庶民の生活2009/04/09 22:51

山田順子『なぜ、江戸の庶民は時間に正確だったのか?』実業之日本社

時代考証家が、江戸の文化・風習を優しく説く本。
ドラマなどでの時代考証の裏話などもちらほら。

やはり、江戸時代の日本は今の時代にあっては最先端文化だったことを痛感する。
特に、持続的社会、環境を大事にしたリサイクル技術は現代日本人が大いに学ぶべき点だと思う。

いや~、やはり幕末、明治の日本人は歴史上で最強の人種だったことを改めて感じました。

温暖化や環境問題を考えている方にお薦めの一冊です。

必要な「国家情報戦略」2009/04/14 23:41

佐藤優 他『国家情報戦略』講談社+α

本書は、外務省のラスプーチン、佐藤優と韓国海軍少佐高永喆の対談をまとめた本。

国家における情報戦略や諜報について対談し、最後は北朝鮮の動向に流れていく。

佐藤は外務省職員であることがいまだに信じられない。
このような事務官が沢山いれば、外務省はもっと戦略的な組織に慣れるのに、やはり異端だからこそ国策操作でやられてしまったのか。

日本が誇る諜報組織、総合商社をもっとうまく活用し国家の運営に当たれないものだろうか。
新たに作るより、既存の組織を活用したら効率的だと思うのだか。

この情報戦略の無い国は、いつかは滅びてしまうのではないかと思う。
でも、中野学校をはじめ、日本人の中にも諜報のDNAが流れているのに、記憶を忘れてしまっているのが残念だ。
これも左翼的教育の成果だろうか。

北朝鮮の衛星打ち上げが気になる方、一読の書です。

Guerra Contra Narco - 麻薬戦争2009/04/17 23:24

柘植久慶『麻薬戦争』実業之日本社

柘植久慶のフィクションを久しぶりに読んだ。
NYを舞台にコロンビア麻薬組織との対決があらすじだ。

このところ、柘植の本で誤字や誤植が良く目に付く。
この本では、誤字はなかったが、スペイン語の部分に間違いをいくつか発見した。
第二外国語が西語だったらしいが、ちょっと・・・・

2008年6月初版なので、コロンビアの描写もAvianca航空の飛行機がアマゾンに墜落する『緑の地獄』だったと思うけど、そのときからはアップデートされていた。

コロンビアって小説とかでもどうしても悪い役で出てしまうんですよね。

柘植本も昔の方がもっと、スピード感があり面白かった気がする。
高校生のとき影響を受けて、将来を悩んだのが植村直己と柘植久慶だった。
自分が成長したのか、歳をくったのか。昔のドキドキ感がなくなってきてしまった。

今、日本では大麻問題が凄いですが、麻薬に興味がある方、一読です。

行ってみたい台湾2009/04/25 18:25

片倉佳史『台湾に生きている「日本」』祥伝社新書

台湾の歴史は征服される歴史だった。
本書は台湾に残る日本統治時代の歴史的遺構をめぐりながら、台湾の人々の記憶に残る日本を追っていく。

良くも悪くも日本が台湾を統治していた。統治された側の心情は複雑だと思う。
しかし、遺構は遺構としての価値を認め、文化財として保存している台湾の人々の認識の高さ、心の広さを感じた。

一方の本国、日本では歴史的な建物は失われていく一方だ。
文化レベルの違いだろう。

是非、台湾を訪れてみたくなる一冊です。