豹変、氷原2009/07/01 21:37

新田次郎『氷原 非情のブリザード』新潮文庫

新田次郎の短編集。
南極大陸を舞台にするものから、私小説的な話まで、面白いお話が9編収められています。

改めて新田次郎の才能を知る一冊です。
個人的には「火山群」と「春紫苑物語」が好きです。
公害を題材とした「神通川」や「風の墓場」もとても良い感じで話が進んでいきます。

通勤で退屈な人にお薦めの一冊です。

収録作
 氷原
 非情のブリザード
 火山群
 虹の人
 三つの石の物語
 神通川
 風の墓場
 春紫苑物語
 高原の憂鬱

縦走路、再び。2009/07/04 19:42

新田次郎『縦走路』新潮文庫

古本屋で見つけて買ったのだが、読み出したところなんか知っているなと思った。
そしたら、1月11日の書評で書いたとおり、今年に入って読んだ本だった。

すっかり、ボケが出てきたか・・・

読み進めると、読んだばかりなのにストーリーが思い出せず、結局最後まで読んでしまった。

何度読んでも楽しめる本だ。

登山のリーダーって今と昔ではだいぶ変わったような感じがする。

聖職の碑2009/07/11 20:56

新田次郎『聖職の碑』講談社文庫

新田次郎の本は、講談社からも出ていたんですね。
読んでみました。

この本は、尋常小学校の校長、生徒が修学旅行で駒ヶ岳を目指し、死傷者を出してしまった悲しい事故が元になっている。

しかし、当時の聖職者たちの考え、立ち振る舞いに明治の日本人を見ることができる。

いまは、教職員の犯罪も毎日のようにニュースに流れる。
聖職ということを自覚して欲しいものだ。

また、実践教育は学校の場だけではなく、家庭でも取り組んでいくべきものだと思う。
いまは、教育は学校がやってくれるものと考えている大人が多すぎる。

教員にお薦めの一冊です。

2009/07/14 22:54

沢木耕太郎『凍』新潮文庫

沢木耕太郎の本を初めて読んだ。
『深夜特急』はタイトルは知っていたが、推理小説を書いている人かと思っていた。

本書は不屈の登山家、山野井さん夫妻が主人公のノンフィクションだ。
お二人とも世界を代表する登山家であり、NHKでも特番が組まれていた。

彼らのヒマラヤ-ギャンチュンカンでの死闘が描かれている。
クライミングから下山まで、一気に引き込まれてしまう。

暑い夏、涼しい気分を味わいたい方にお薦めの一冊です。
すさまじすぎる!!!

山の楽しみ方。ユニーク登山術2009/07/19 18:56

石井光造『山を楽しむ ユニーク登山術』東京新聞出版局

いろいろな山の楽しみ方が書かれた本。
地形や、草花、標高、干支十二支の名前にちなんだ山など、いろんな視点での山の楽しみ方が書かれています。

本当に、山は広く浅くいろんな知識を持っていると楽しみ方がとても広がると思う。
その中から、深堀していくものが見つかるとよい。

昨今は、ツアーで100名山のピークを踏むためだけの団体登山客が増えている。
北海道では痛ましい遭難事件が発生してしまったが、山を知らないがための事故ではないだろうか。
『ガイド』という言葉がニュースに出てくるが、いわゆる『登山ガイド』と『ツアーコンダクター』を一緒にしているようで、山岳ガイドの方々には気の毒だ。

100名山ツアー客の方々にお薦めの一冊です。
本当の山の楽しみ方を見出して欲しい。

クライミングテクニック2009/07/25 08:10

堤信夫『全図解 クライミングテクニック』山と渓谷社

本屋で見つけて、買ってしまった。
基本的な道具の説明から、ロープワーク、ビレイ、ムーブなど基本事項がわかりやすい図とともに説明されている。

入門者にはわかりやすい一冊だ。
しかし、クライミングテクニックは書籍だけでは身につかない。本で学んだらしっかりと、フィールドでの反復練習が必要だ。

これからクライミングを始めたい人にお薦めの一冊です。

遠き雪嶺を乗り越えて2009/07/30 22:08

谷甲州『遠き雪嶺-Nanda Kot』角川文庫

谷甲州の本は初めて読んだ。
ずっと書店や中古本屋を探していたのだがなかなか見つけることができなかった。

本書は、フィクションながらノンフィクションに近い内容で、日本で初めてヒマラヤへ遠征をした立教大学山岳部を舞台とした物語だ。

若き山岳部員たちの遠征に向けての活動、遠征をとるために他を捨てる決断をするもの。心の葛藤が描かれている。

いまなら、飛行機で一っ飛びだが当時は船での旅だったのも興味深い。

登山や冒険が好きな方にお薦めの一冊です。

いや~、谷甲州はハマリそうです。