梅咲きぬ2009/10/02 21:57

山本一力『梅咲きぬ』文春文庫

先般読んだ『損料屋 喜八郎』に登場する料亭江戸屋を主人公に置いた作品。
江戸の老舗料亭の子供の育て方、しつけ方法は今の幼稚化した社会において、教科書になるものだと思う。

年上を敬う心などは、普通の日本人が持っていた心ではないだろうか。
失われてしまった日本人の心が沢山つまった一冊です。

赤絵の桜2009/10/03 11:54

山本一力『赤絵の桜-損料屋喜八郎始末控え』文春文庫

とても面白かった前作『損料屋喜八郎始末控え』だが、是非とも続編が読みたいと思っていたら出ていました。

本書も面白すぎて、一気に読み終わってしまった。
登場人物は前作と同じ勘定奉行や札差に、喜八郎の仲間たち、深川の人々と変わっていません。

短編集ですが、お話は連続していきます。
最終章では、ちょっとした驚きも。

う~ん、さらなる続きが読みたいです。

大いなる山、大いなる谷、素晴しい大自然2009/10/04 11:51

志水哲也『大いなる山 大いなる谷』白山書房

この本は、大学1年のときにJECCの集会に見学に行った際に著者からいただいた本だと記憶している。
学生時代は、この本を読んで大縦走にあこがれた思いがある。

再び読み返してみると、青春の苦悩や山を中心とした生活への憧れなど、自分とも重なるところが多く、感慨深い。

本書は黒部流域の遡行図としても大活躍します。

青春の頃の気持ちを思い出したい方へお薦めの一冊です。

東京、望郷2009/10/09 11:19

新田次郎『望郷』新潮文庫

新田次郎の戦争を題材とした短編を収めた一冊。
自身の戦後の引き揚げをもとに書かれたものだ。

新田次郎といえば山岳小説や歴史小説だが、この一冊も良い作品が沢山だった。

戦後の複雑な国際情勢や中国大陸の状況などが書かれています。
『夕日』と『生き残った一人』、『西沙島から蒸発した男』が良かった。

心に染みます。

収録作
 豆満江
 望郷
 夕日
 七人の逃亡兵
 生き残った一人
 西沙島から蒸発した男

脱獄山脈縦走路2009/10/10 11:24

太田蘭三『脱獄山脈』祥伝社文庫

太田蘭三の山岳シリーズ。
殺人罪で服役している元警察官が脱獄し、奥多摩、奥秩父、北アルプスを逃亡し、真犯人を追い詰める。

登山素人の脱獄囚が経験を通して立派な山男に変化していく様が面白い。
最後は、ほろっとしてしまいます。

この主人公一刀の続編も出ているようだ。

是非、続きが読みたい。

地方再生はどうなるのか2009/10/16 13:52

農政ジャーナリストの会『日本農業の動き159-地方再生への道を問う-』農林統計協会

ブックオフで目に留まり買ってみた。
いま、都市部と農村部の格差が激しく、限界集落が増えている。
農村部でなくても、地方中核都市なども人口の減少や経済の停滞で大変な状況だ。
国、地方自治体は赤字まみれ。

どうなっていくのだろうか。

本書は研究者やジャーナリストの寄稿を中心とした本。
なかなか面白い提言などもありましたが、言うは安し行うは難しだと思います。

自分も農村にどっぷりつかりこんで、地方再生に取り組んでみたい。

餓鬼岳の殺意、何人死んでいくんだ・・・2009/10/17 13:56

太田蘭三『餓鬼岳の殺意』講談社文庫

この間の太田蘭三が面白かったので、またブックオフで買ってきました。
本書は、レジャーライターの釣部さんが主人公。
つりや登山のライターであり、山にも詳しい。
彼の周りで、連続殺人事件が発生する。

軽い読み物としてお薦め。
推理小説部分は、いまひとつかなといったところでした。
この間の、『脱獄山脈』のようなヒューマンドラマが読みたいです。

『赤い雪崩』を探しているのだが・・・

岩・雪・アルプス 行きたい・・・2009/10/25 13:15

藤木九三『岩・雪・アルプス』中公文庫

1920年代のヨーロッパアルプスの紀行と北アルプスの山行記録が収められている。
今でこそ、登山は大衆スポーツとなり100名山を目指して多くの人が登っている。
また、ヨーロッパなどもツアーでトレッキングをはじめ様々な商品が販売されている。

著者は第一次RCCで活躍をしており、登った時期はまさに日本登山の黎明期で加藤文太郎などが活躍をした時代だ。

当時の登攀技術や風景がいきいきと記されている。
様々なシーンでパイプを燻らすのも、紳士のスポーツとして始まった登山が垣間見られる。

エベレスト・ママさん2009/10/30 00:21

田部井淳子『山登り半生記-エベレスト・ママさん』新潮文庫

日本人女性で初めてのエベレスト・サミッターでNHKの趣味悠々などでも講師をしているのは知っていた。
しかし、著書などは読んだことが無かった。

古本屋で見つけた文庫を買ってみた。

子供時代から、女学生になり山にのめりこんでいく様子がとてもいきいきと書かれている。

その後、アンナプルナIII峰に登り、エベレストへとつながっていく。
遠征での人間関係などもリアルに書かれている。

今でこそ、エベレストもツアーの対象になってしまったが、当時の登攀はやはり凄かったのだと思う。

当時からも、現代でも、やはり女性は強いです。