死のクレバスで、クレパス2009/11/02 23:37

J.シンプソン、中村輝子(訳)『死のクレバス-アンデス氷壁の遭難』岩波現代文庫

ペルーアンデスの未踏峰登山に挑んだ二人。
無事に初登頂を果たすが・・・・

下山時に一人が骨折。
6,000m級の氷と雪の世界での脱出行が繰り広げられる。
氷に口をあけるクレバス、容赦なく吹き付ける風雪。

これがノンフィクションであることが信じられなかった。

壮絶な生への執着が、ジョーを助けたのだと思う。

低山でも、こんな状況に陥ったら諦めてしまうだろう。

登山をする人にお薦めの一冊です。

怒る富士と、伊那代官2009/11/14 15:29

新田次郎『怒る富士 上・下』文春文庫

新田次郎の力作、長編。
宝永年間の富士山噴火を中心に、駿東郡の村と幕閣の駆け引き、農民の生活改善に取り組む、伊那代官の活躍が中心に書かれていく。

富士山に因縁の深い新田次郎の大作で、とても面白い内容だった。

この本に出てくる、駿東郡や足柄郡などは市町村合併などでその名前も消えてきている現在の状況は悲しい。

沼津も宿場町として出てくる。
自分の生まれた街の歴史をもう少し勉強して見なければと感じました。

知恵袋に脱帽2009/11/15 10:43

工藤隆雄『山小屋の主人の知恵袋-生き字引に学ぶ登山術-』東京新聞出版

本書、その名の通り山小屋のオヤジたちの経験から導き出された山登りの掟や、アドバイスがふんだんに入っている。

山道具から、歩き方、心構えまで幅広い。
本書のように、暗黙知を文書にして残していくことは非常に大切だと思う。

著者の本は、『マタギに学ぶ登山技術』(山渓)などもあり、プロフェッショナルに焦点をあてられた本が多い。

『山のミステリー』も読んでみたいです。

絶壁、氷壁2009/11/21 09:33

井上靖『氷壁』新潮文庫

何度も名前を聞く小説でありながら、まだ読んだことが無かった。
NHKでは現代の設定でドラマ化もされている。

山岳小説というと必ず名前が出てくる本であるが、これは恋愛小説だろう。切れたザイルの謎を追うあたりは推理小説っぽくなっている。

新田次郎の小説もそうだが、昔の登山家はタバコを好む人が多く出てくる。
いまでは、山でタバコをすっていると白い目で見られてしまう。

タバコと山は小説だと格好よくマッチしているのに。