すごいぞ、サバイバル登山家2008/12/01 21:52

服部文祥『サバイバル登山家』みすず書房

この前、新書版で読んだ服部文祥さんの本。
この本には、サバイバル登山のきっかけからが記されている。

自然との付き合い方、山への思いは自分と通じるところもある。
しかし、同じことが自分にもできるかというと答えは「否」だろう。

自分は自分の登り方で登山と付き合って行きたい。
都会での生活、サラリーマン生活とこのようなハードな登山を両立しているところは見習いたい。

もっと秋から冬、春にかけて大型連休が増えてくれると空いている山に行きやすくなるんだが・・・

サラリーマン生活に苦悩している人にお勧めの一冊です。

山で死なないために、どうしよう2008/12/03 22:17

武田文男『山で死なないために』朝日文庫

昔、単行本で読んだほんだが、古本屋で文庫版を見つけて買ってしまった。
昭和30年代から50年代頃の登山状況などを踏まえ、遭難対策や環境保護、スキー場の問題などが記されているが、現状は今の平成と大きくは変わっていないのではないかと思う。

さすがに、環境意識は高まり山でごみを捨てる人はあまり見なくなったが、山小屋に持ち込んだごみを捨てていく人はまだいるし、高山植物なども荒れている。

相変わらず、高齢者や単独登山者の遭難事故や、タクシー代わりにヘリコプターの救助を呼ぶ人もいる。
携帯電話が普及した分、救助の出動率は増えているのではないだろうか。

自己責任や登山等について、もっと真剣に考える必要がある。

登山をやっている人、100名山を目指している人、ツアーに参加している登山客の方にお勧めの本です。

山が見ていた・・・2008/12/09 22:58

新田次郎『山が見ていた』文春文庫

実家に有った新田次郎をたくさん持って帰ってきた。
たしか、高校生のときにはまって、集めた本だ。

すっかり内容は忘れてしまっているので再び読み返したい。

まずは、短編集の『山は見ていた』を読んだ。
山岳小説ではなく、サスペンスの短編がつまっている。

どきっとする怖い内容がたくさん詰まっている。

新田次郎の著書の中では時代小説、山岳小説が好きだがこんな短編もたまには良い。
たしか、山岳小説でもサスペンスものがあった。

まだ読んでない本も買って読み進めたい。

冬山の掟とは!!2008/12/12 22:50

新田次郎『冬山の掟』文春文庫

冬山の遭難を描いた10話の短編。
久しぶりに読んだが、最初に読んだのは高校3年生の時、1991年だったことを思い出した。

初めて単独で冬の愛鷹山縦走を行った。
その直前に読んだのがこの短編集で「愛鷹山」で位牌岳で男女が死んでしまう物語を読んで、この山に登りとても心細くて怖い思いをした。

解説によると、『山男に悪人はいない』、『山女に美人はいない』という「登山神聖論」に挑んだ作だという。

しかし、最近の混んだ山の現実を見ると常識の無い人が多いように感じる。特に混雑した山小屋は凄い状態だ。

結局は、社会の延長である山。こんなサスペンスがあっても良いのでは。

山登りを神聖なものだと思っている方にお薦めの一冊です。

単独行、ひとり歩きの登山技術2008/12/13 09:31

工藤隆雄『ひとり歩きの登山技術』山と渓谷社

初版1989年、第六版1991年の本
たぶん、高校生のときに単独行を始めるにあたり買った本だと思う。

初めてテントを背負っての単独行はとても不安だったことを覚えている。
そんな不安を打ち消すために読んだのだろう。

いま読み返してみると、基本的な事項が書かれているが初心を忘れず、安全な登山を心がけるためには良い本だと思う。

本に出てくる装備などは、もう一昔前のものといった感じだが基本的な考えや技術は不変だ。

一人で山を歩きたい方にお勧めの一冊です。

雪の炎2008/12/24 23:09

新田次郎『雪の炎』文春文庫

雪山でのリーダーの死をめぐり展開するサスペンス。
昔読んだ本だったが、まったく記憶に残っていなかった。

山が舞台の小説だ。
山岳パーティーという閉ざされた社会で起こった事件を通して、国際産業スパイやさまざまな出来事が交差していく。

なかなか面白い本で、引き込まれてしまいました。

富士山頂、日本一!!2008/12/26 22:52

新田次郎『富士山頂』文春文庫

今ではなくなってしまった、富士山頂の気象観測レーダー。
これを作るまでの男たちのドラマ。

これは、「プロジェクトX」でも取り上げられたが、作者自身がかかわっていただけに、リアリティがあり面白い。

山岳小説とはまた違った味がある。
仕事に誇りと生きがいを持てた時代のサラリーマン達の活躍に心が躍る。

仕事に疑問を感じている方、お勧めの一冊です。

マタギの伝統2008/12/29 08:37

工藤隆雄『マタギに学ぶ登山技術‐山のプロが教える古くて新しい知恵』山と渓谷社

この本はいま、新装版が出ているが、読んだのは1991年の第二版。
高校生のころに買ったものを再び読んだ。

やはり、山のプロフェッショナルであるマタギの技術と知恵は素晴らしい。
これら伝統がしっかりと継承される手立てを打つ必要がある。

各地で野猿や猪、鹿などが増えすぎており人間との共生が難しくなっている。害獣を駆除するにも、猟師が減ってしまっているようだ。

猟師たちも独自の経験と知恵を持っているのだろう。

マタギに限らず、日本の伝統文化が消えていくのは寂しい限りだ。