凍樹の森2011/08/28 20:31

谷甲州『凍樹の森』徳間文庫

谷甲州のマタギを題材にした一冊。
物語は日露戦争に勝利した後の秋田の山から始まる。

大陸に渡り、凍てつく大地での攻防。

とても面白い一冊でした。

空飛ぶレスキュー、東邦航空2011/04/02 12:40

羽根田治『空飛ぶ山岳救助隊』山と渓谷社

遭難関連のドキュメントが多い羽根田氏の一冊。

東邦航空の営業マンでわが国にヘリ・レスキューを定着させたパイオニア篠原秋彦を追ったドキュメント。

厳しい中に優しさを秘める篠原の人柄が良く出た一冊。
安易な救助要請が増えているようですが、登山者には是非、一読いただきたい一冊。

死導標ほか2011/03/29 22:06

森村誠一『死導標』光文社文庫

村誠一の山岳ミステリー短編集

純愛物からドキッとするものまで、いろいろで楽しめます。
夢の虐殺や北ア山荘失踪事件が良かったかな。

収録作
 死導標
 醜い高峰
 北ア山荘失踪事件
 高燥の墳墓
 裂けた風雪
 垂直の陥穽
 夢の虐殺

登山者のためのファーストエイド・ブック2011/03/27 15:50

悳 秀彦『登山者のためのファーストエイド・ブック」東京新聞

登山で想定される様々なケースに対しての対応法を説いた本。

状況によりどのような装備を有しているかで違ってくるのでなかなか救急グッズをどうするかの判断は難しい。

まずは、救助を呼ぶという点は非常によく理解できた。
救急法も日進月歩で変わっていくので常に新しい情報をインプットするようにしたい。

約束の地はどこだ2011/03/26 08:41

樋口明雄『約束の地』光文社

八ヶ岳、南アルプスの麓に転勤してきた環境省キャリア官僚の葛藤。

野生鳥獣保全管理センター(WLP)を舞台にした野生動物と人間、人間同士の対立と協調の物語。

環境破壊により突然変異した寄生虫。寄生虫に蝕まれてゆく山の主。主を追い続ける老齢猟師。ヒステリックな動物愛護団体。さらに同僚の不審死がからみ犯人探しが始まってゆく。

『男たちの十字架』『光の山脈』に続く南アルプスを舞台にした小説です。

林野庁はいらない2011/03/12 19:09

三俣山荘撤去命令を撤回させる会編『山小屋はいらないのか』リベルタ出版

林野庁のめちゃくちゃな行政をきっかけに始まった行政訴訟。

山小屋の地代の大幅な値上げとその裏に隠れた林野行政を語る一冊。
合法的かつ上げ組織の厚生労働省よりもひどい組織があったことに驚いた。
どちらも似たようなものか。
いまの花粉症の大流行も林野庁の愚策のせいだろう、みんなで倍賞訴訟をしたら面白いと思う。

いま、水源林を外資に買われているのも林野庁の愚策のせいではないのか。

タイトルは『山小屋はいらないのか』だが、『林野庁はいらないのか』で良いと思う。答えは一つしかない。

北壁に舞う2011/03/05 10:42

長谷川恒男『北壁に舞う』集英社文庫

長谷川恒男のグランドジョラス北壁の厳冬期登攀記録。
このグランドジョラス北壁の完登をもって、日本人として初めてヨーロッパ三大北壁の冬期単独登攀者となった。

いろいろな思い出、回想などと共に登攀記録が綴られてゆく。

.子供や青少年向けに書かれたものかも知れない。

北壁からのメッセージ2011/02/24 22:43

長谷川恒男『北壁からのメッセージ』中公文庫

長谷川恒男の小学時代から定時制高校までの生活とその後の、子供達の教育に至る経緯を書いた一冊。

いまでは野口健も同じような本を出しているが、長谷川が最初だろう。
ジュニア・アルピニスト・スクールを通しての子供達の教育は、現在の環境教育、体験教育につながるものだ。
生きていれば私の父と同じ歳。
もっと活躍する姿が見たかった。

エベレストの虹2011/02/22 22:10

谷恒生『エベレストの虹』角川文庫

加藤保男を思わせる、主人公、日本登山界のエース風間剣策。これまで2度、エベレストに登頂し、厳冬期単独登山に望む。
エベレスト出発前に、女優との対談をへてロマンスが芽生える。登山に望む風間と、風間を思いながら映画撮影に望む女優。
長編アドベンチャー・ロマンとのことだが、今ひとつです。
登山描写も筋も、もう少し深みが欲しいところです。

遥かなる未踏峰は何処に!!2011/02/04 22:35

ジェフリー・アーチャー『遥かなる未踏峰-上下』新潮文庫

永遠の謎、ジョージ・マロリーは未踏峰のエベレストに登頂したのか。

本書はマロリーを主人公とした英国登山隊のエベレスト初登攀を巡る物語。
奥さんルースとの手紙のやり取りがとても良い。
また、ルースがスコット未亡人へ夫のエベレスト行きを相談する。スコット未亡人の回答は、自分の妻にも読んで欲しい。

山岳描写はイマイチですが、古き良き英国とその時代の登山は面白いです。