遥かなる未踏峰は何処に!!2011/02/04 22:35

ジェフリー・アーチャー『遥かなる未踏峰-上下』新潮文庫

永遠の謎、ジョージ・マロリーは未踏峰のエベレストに登頂したのか。

本書はマロリーを主人公とした英国登山隊のエベレスト初登攀を巡る物語。
奥さんルースとの手紙のやり取りがとても良い。
また、ルースがスコット未亡人へ夫のエベレスト行きを相談する。スコット未亡人の回答は、自分の妻にも読んで欲しい。

山岳描写はイマイチですが、古き良き英国とその時代の登山は面白いです。

飢えて狼。2011/02/06 21:11

志水辰夫『飢えて狼』新潮文庫

久しぶりに、面白いハードボイルドに出会った。

主人公の渋谷は、マッターホルン北壁の単独登攀を行うなど一流のクライマーだった。
今は、引退してマリーナを経営している。
突然の訪問者により、壮大な事件に巻き込まれてゆく。

一気に読み進んでしますとても面白い小説だ。
これが、著者の処女作というから凄い。
もっと、志水辰夫を読んでみたくなる。

黄色い牙2011/02/22 21:45

志茂田景樹『黄色い牙』講談社文庫

志茂田景樹の本を初めて読んだ。
学生の頃、凄く過激なファッションでテレビに出ていたオッサン程度にしか思っていなかった。
本作はマタギの伝統をかたくなに守り抜く佐藤継憲を主人公として、そのまたぎの里である露留を舞台に展開していく。
幼かった主人公の成長がとても逞しい。マタギの衰退していく様子が悲しい。
マタギ小説としてはなかなかの一冊です。

エベレストの虹2011/02/22 22:10

谷恒生『エベレストの虹』角川文庫

加藤保男を思わせる、主人公、日本登山界のエース風間剣策。これまで2度、エベレストに登頂し、厳冬期単独登山に望む。
エベレスト出発前に、女優との対談をへてロマンスが芽生える。登山に望む風間と、風間を思いながら映画撮影に望む女優。
長編アドベンチャー・ロマンとのことだが、今ひとつです。
登山描写も筋も、もう少し深みが欲しいところです。

北壁からのメッセージ2011/02/24 22:43

長谷川恒男『北壁からのメッセージ』中公文庫

長谷川恒男の小学時代から定時制高校までの生活とその後の、子供達の教育に至る経緯を書いた一冊。

いまでは野口健も同じような本を出しているが、長谷川が最初だろう。
ジュニア・アルピニスト・スクールを通しての子供達の教育は、現在の環境教育、体験教育につながるものだ。
生きていれば私の父と同じ歳。
もっと活躍する姿が見たかった。