冬のデナリの恐ろしさ。2010/05/09 18:36

西前四郎『冬のデナリ』福音館文庫

1967年に世界で始めて厳冬期のアラスカ・デナリ峰(マッキンリー)に登頂した国際登山隊の活躍。
5カ国8名の中でただ一人の日本人として参加した西前四郎が「児島次郎」を主人公に小説風に綴っていく。

誰もが成功を疑問視し、計画段階から苦労をするが厳冬期に3名が登頂し辛くも生還する。

冬のデナリは植村直己や山田昇もその後挑戦し消息を絶っている。
いかに困難な登山だったのかがリアルに綴られた一冊です。
登山隊のその後も面白いです。

星と嵐に打たれて。2010/05/12 00:16

ガストン・レビュファ(近藤等訳)『星と嵐』集英社文庫

垂直の岩壁に清秋を賭けた名クライマー、ガストン・レビュファのグランド・ジョラス、マッターホルン、アイガーなどアルプスの6台北壁登行の記録。

それぞれが非常に難しい岩登りにもかかわらず、とても楽しそうに書かれている。
港町のマルセイユに生まれながら、アルパイン・ガイドとして功績を残した氏の生い立ちも興味深い。

古き良き時代の優雅な登攀が楽しめる。

神々の座を越えてみたい2010/05/18 23:11

谷甲州『神々の座を越えて』ハヤカワ文庫

谷甲州の『遥かなり神々の座』の続編とも言える書籍。

あの冒険山行から5年後。
物語はアルプスのアイガー北壁登攀から始まる。
アルプスを終われるように抜け出した滝沢は、チベットに向かうことになる。

中国兵との戦闘に追われ逃げた先はサガルマータ。
果たして無事に逃げとおすことができるのか。

アルプス、ヒマラヤを舞台にした冒険小説で読み応えがあります。
本書を読む前に、『遥かなり神々の座』を読んでおくともっと面白いと思います。

ジャンキーなジャンクション・ピーク2010/05/23 08:40

谷甲州『ジャンキー・ジャンクション』ハヤカワ文庫

谷甲州のヒマラヤを舞台とするなんとも不思議な一冊。

預言者のような男、マックスに出会い彼の予言どおりにインドで国際登山隊が結成される。
5名の登山家がそれぞれのルートから登山を開始するのだが・・・

登山の描写が丁寧で読んでいるうちにヒマラヤの山に吸い込まれていく。
『神々の座』シリーズとはちょっと違うが面白い一冊だった。

北壁の死闘は凄すぎる!!2010/05/25 23:05

ボブ・ラングレー『北壁の死闘』創元ノヴェルズ文庫

ずっと古本屋で探し続けていてようやく出会うことができた。

外国人作家の冒険小説ってこれまであまり面白いものがないように思っていた。
この『北壁の死闘』は面白すぎる。

クライミングの描写も良いし、人間関係の描写も良い。
また、最後がほのぼのとして素晴しい。

大戦中に新兵器開発のための特殊作戦に参加するシュペングラー。任務を明かされないまま、登攀のトレーニングに入っていく。
そして明かされた任務は、絶対不可能と思われるものだった。
厳冬期のアイガー北壁を舞台に繰り広げられる戦闘。
そこにも山男達の友情がある。

この本に出合えてよかったです。

ヒマラヤに挑戦してぇ~!!2010/05/30 10:29

パウル・バウアー『ヒマラヤに挑戦して』中公文庫

1929年に世界第三の高峰カンチェンジュンガを目指した、ドイツ隊の登山記録。

第一次大戦から立ち上がろうとしていたドイツ。
彼らの計画から登山の行動まで、記録がとても面白い。
当時の登山がどのようなものだったのか、また現地の人たちとのふれあいや付き合い方などは、歴史的な資料としても価値があるものだと思う。

古き良き時代の大エクスペディションです。