パナマへの出稼ぎ2006/02/01 23:45

会社のメルマガに書いているシリーズものの第3回目です。

シリーズ「多文化共生と日系人」
            ~第3回 ハワイ・アメリカから中南米へ~
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 前回、次回はアフリカへ渡った人をと書きましたが、予定を変更しました。

 1885年にハワイへ初めて契約移民が渡ってから、多くの日本人が海を渡りハワイやアメリカ本土へ向かいました。米国本土ではこれに伴って、日本人が増えるのと同時に、現地での排日気運も高まって行き、地域で社会問題が発生してきます。

 1907年3月、ルーズベルト米国大統領は、ハワイ・メキシコ・カナダからの
日本人の転航移民を禁止しました。これを受け、日本政府は1908年、日米紳士協約を米国政府と結び米国への移民が終わりを迎えます。
 米国への移民が禁止されると、ペルーやブラジルなどの中南米に行き先が変わって行きます。

 時代は飛んで、昭和2年(1927年)静岡県沼津市に我入道という漁師町から、夢を求めて中米のパナマに出稼ぎに向かった31歳の漁師がいました。
 それが私の祖父。新一です。
 日本で漁業を営んでいた彼は、パナマでも漁業に従事し日本の漁業技術を用いて、当時開通したばかりのパナマ運河を航行する船や米国軍関係者等へ魚を販売していました。
 また、当時は「呼寄せ」が一般的で、先発隊として生活基盤を整え、親戚や同じ町からさらにに移民を呼寄せます。
 祖父も同じ沼津からも多くの人を呼び寄せています。

 当時パナマに住む日本人は、商店、理髪店、クリーニング屋を営む人が多かったそうです。隣の床屋のお爺ちゃんはパナマで床屋修行をしたと言っていました。
 祖母も呼び寄せられパナマまで25日の船旅。途中、ハワイ島のヒロ、ロサンゼルスを経由してバルボア港へ入っています。
 行きは日本から野菜の種などを持っていき、帰国の際は鉄屑を大量に持ってきて船賃を稼いだようです。商魂たくましかった人達です。

 昭和13年(1938年)に帰国しますが、祖父は出稼ぎでは成功したようです。
 その要因はなんと、ロテリア(宝くじ)。中南米では宝くじや賭け事が盛んです。
 祖母が無理やり買わされたと言っていた宝くじ。なんと1等と3等が当たり、当時のお金で3千円を手に入れたそうです。
 今の金額でどのくらいか分かりませんが、土地と家を建てて、まだお釣りがあったと言っていました。

 祖母はパナマに住んでいた頃の住所を覚えており、私がパナマを訪問した際に行ってみました。
 タクシーの運ちゃんが「危ないから、降りないほうが良いよ」とアドバイスしてくれて、車の中から見ただけでしたが、旧市街の真ん中あたり、いまは貧しい人達がたくさん住んでいる地域でした。
 海が近くて住みやすそうな地区で「ここで漁師をしていたのか」と、感慨に耽りました。

 そのまま現地に残った親類等は、第二次世界大戦を経てブラジルやベネズエラに再移住をしています。ベネズエラの親戚がいる周辺地区では、
 沼津弁が正式な日本語として採用されています。
 昔聞いた懐かしい言葉がまだ海外では残っています。

 パナマからは2度ほど日本人が消えています。第二次大戦が始まると敵性国の住民はカリフォルニア等の強制収容所へ入れられます。
 次回はこのお話もしたいと思います。

幕末の男達、侍魂2006/02/03 23:05

子母澤寛『新撰組始末記』中公文庫

子母澤寛の新撰組3部作、学生時代にハマッタ本を実家で見つけて再読してみた。

『始末記』は、新撰組の活動を史実を追って描いている。
この時代の男達の活動、生き様はやはりすごい。
学生時代とは違った読後感を持った。

京都で佐幕派と勤皇派との抗争で次々に人が殺されていく。
まさにこれは内戦だったといえる。
しかし、自らの信じるところにおいて体を張ってこの国を作り上げていく男達の生き様は、まさしくこの国の歴史である。

この歴史の上に、現代の日本が立っていることを忘れてはいけない。

オリバー・ツイスト2006/02/04 23:01

今日は、映画を見てきた。

『オリバー・ツイスト』。予告でおすぎが61年間生きてきて最高の映画だったといっていたが、その良さがわからなかった。

産業革命時代のイギリスで、孤児の少年が生きていく話で時代背景や少年の心の描写は良かったが、少し物足りないという感じだった。

もう少し、成長の姿が描かれると良かったのかなと感じる。

次回は「ジャーヘッド」と「シリアナ」を見たいと思う。

東京裁判2006/02/09 20:06

太平洋戦争研究会『東京裁判がよくわかる本』PHP文庫

20の質問に答える形で、東京裁判がどういうものだったのか、国際的にどのように見られていたのか、現在、日本国内でどのような論争が行われているのかが、コンパクトに良くわかる本だった。

これまで、東京裁判は概要しか理解していなかったがこれで、全体的な流れや位置づけがはっきりした。

入門書としては読みやすくわかりやすい。
また、中立的な視点で分析、記載されているのも良いと思う。

日本の神様たち!!2006/02/24 19:48

武光誠『知っておきたい日本の神様』角川ソフィア文庫

日本に点在する神社、その歴史と系列がわかりやすく書かれている。
大きくは神話を元にできた神たちだが、中には外国から来た神と融合したもの、家康や乃木などのように人間が神として祭られたものなどさまざまである。

普段、何気なく初詣やお参りに行っている神社がどのような系譜なのか、どのような成り立ちを持つのかがわかり面白い本であった。

ホテル・ルワンダ2006/02/26 19:54

『ホテル・ルワンダ』を見てきた。

名古屋では、名演小劇場という小さな劇場で上映されている。
初めて行ったが、小さな劇場は補助席を使うほどの満員だった。

映画の方は、国連平和維持軍や先進諸国がアフリカをどのように見ているのか、何をして何をしなかったのかが描かれていたが、このあたりをもう少し深く切り込んで欲しかった。

アフリカの現実を知るために、また世界の現実を知るためにどうしてこのような映画を全国系列で上映しないのだろうか。
我が国もまた、アフリカには政治的に無関心を装っている。

ただ、国連での1票のためだけに表面的な付き合いでODAを行っているのではないか。

このような悲劇を繰り返さないためにODAを有効に活用していって欲しい。